序章 00


少女は街を彷徨っていた。
手には大きな荷物を持ち、困ったように顔を顰めている。
「どうしよう…」
行く当てはない。
かといって、あれ以上あの場所にいるのは命の危機を感じるし…。
出来ればあの人には見つかりたくない。
「あっ」
そして、フッと視線を上げるとデカデカと求人の文字が目にとまった。
少女は目を輝かせてそれを見る。
「これだ!」
喜々とした表情で少女は走り出した。
それが彼女の受難の日々の始まりだとは知る予知もない。



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