恋の御題10題


1. 始まり

「ふぁ〜」
窓際の席とポカポカした日差しと満腹感のある午後の授業。
極めつけは数学という退屈極まりない授業。
退屈と睡魔と戦うそんな午後。
もちろん授業なんか真面目に聞いているはずもない。
―いっそのこともう寝ちまうかな…。
そう思いつつ雲一つ無い青空を見る。
―こんな良い天気だし、寝るか。
そう思い頬杖を付き目を閉じようとしたとき。
「あ」
隣の席から密かにそう声がした。
閉じかけた目を開き、声の方を見る。
「えっと…?」
隣の―…誰だっけ?
彼女はこのクラスでは大人しめであまり目立たない人物。
俺自身席がとなりでも話したことがない。
……名前なんだっけ…?
「あの、それ…」
―それ?
彼女が何か俺に向かって言おうとしているのを感じ目線を辿ってみる。
そうしたら俺の足下に消しゴムが落ちていた。
―これ落としたわけ?
そう思いながら足下の消しゴムを拾う。
「これ?」
「それですっ!!」
消しゴムを見せたら首をふりながらそう答える。
それを見て少し微笑みながら消しゴムを差し出す。
「どうぞ」
「ありがとうございます!!」
彼女は俺に満面の笑みを見せ手を差し出してきた。
一瞬ドックンと胸が高鳴る。
「ど、どういたしましてッ」
消しゴムを渡し直ぐに彼女から視線を反らしまた窓の方を向いた。
俺はドキドキと鳴る胸を押さえ彼女に動揺が伝わらないように必死に平静を装った。
―…不意打ち過ぎ…!
ヤベッ、可愛い…!!
いつもの昼下がり、恋の始まりを告げたのは
消しゴムと君の笑顔。




2. 王子様

「急いでるんで」
「そう言わないでよ、奢るしさ」
―早く行きたいのにぃ〜!!
愛しの彼、翔ちゃんからバイトが無くなったっと連絡が来たのはもう20分も前。
翔ちゃんとは学校も違うし翔ちゃんがバイトをしてるから滅多に会えない。
遠距離でもないのに会える機会が少ない。
もちろん連絡はまめにくれるし、時間があるときは会ってくれるけどやっぱりもっと一緒にいたいっ!
だから今日みたいに会える時間が出来ることは滅多になくて急いで翔ちゃんの家に行こうと街を歩っていたのに……
―ナンパに捕まり早10分。
ナンパに腕を掴まれて逃げられない状態に居る。
―…ううっ
「離してよッ!!急いでるの!!!」
「良いじゃん、遊ぼうよ!あ、カラオケ行こうぜ!!」
ナンパ野郎は勝手にそう決め強引にカラオケに向かいだした。
―ヤダッ!!!
「ッイヤ!!離してぇッ!!!」
私は必死に抵抗して声を上げた。
「ンゥ!?」
「…痛い目見たくなかったらちょっと大人しくしろよ?」
ナンパ野郎は大人しくならない私に苛ついたのか私の口を押さえつけて少し低い声でそう言う。
そして手首を掴む力を強めてきた。
―……怖いッ!!
誰かッ……
助けを求めようと周りを見るが、みんな知らんぷりして通りすぎていく。
「無駄無駄、誰も助けてなんかくれないんだから」
「ッ!!」
ナンパ野郎は愉快そうにそう言ってまたカラオケに向かって歩き出す。
―イヤッ……翔ちゃん!!
そう思ったとき、後から誰かに肩を抱かれて引っ張られた。
「その汚い手、離してくれる?」
「翔ちゃんッ…!!!」
「……」
ナンパ野郎は邪魔されたことで不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「実奈に気安く触るな」
「……チッ」
ナンパ野郎は翔ちゃんの言葉で意外にもあっさりと私を離して早々と居なくなった。
―翔ちゃん!!
私は助かったのと来てくれた嬉しさから翔ちゃんに抱きついた。
翔ちゃんも私を抱き返してくれる。
「翔ちゃんありがとうッ」
「…どういたしまして。全く実奈は目が離せないな」
「フフッ翔ちゃん好きー!!」
私が抱きつきながらそう言ったら、翔ちゃんは抱きしめる力を強めて優しい声色で言う。
「俺も。また何かあったら直ぐ呼べよ?何処でも直ぐ行くから」
「翔ちゃんホント大好き!!!」
私はそう言って更に強く抱きついた。
優しくて格好良くて私だけを守ってくれる。
私だけの彼氏。




3. 叶わぬ恋とは知りながら

「沙織ッ!!屋上行くよ〜」
「…今行く」
あたしに呼びかける彼女に少し微笑みを向けてからそう言った。
弁当取り出し彼女の元へ行く。
そして嫌でも目に入る…
…彼の存在。
当たり前の様にいつも彼は彼女の隣にいる。
そこにあたしが行くのは周りから少し奇妙な光景かもしれない。
―なぜなら彼女と彼は周りも認める公認のカップルだから。
あたしは明らかに邪魔者だろう。
でも誘ってくるのはいつも彼女たちなのだし、
あの二人にとって私も一緒なのは当たり前なのかもしれない。
―あたし達三人は幼馴染みだから。
あたし自身一緒にいるのは実際辛い。
「もう、バカじゃん!!」
「んだと?こいつ!」
「……」
ズキンと胸が痛みを訴えて、少し目を閉じた。
いちゃつく二人を見て胸の奥がチクチクするのはあたしも彼が好きだから。
だからこの時間二人を見ていなきゃいけないのは拷問に近く辛い。
「はぁ」
「あ、今ため息したな!!?沙織までバカにするのかよ!?」
…違うし、この鈍感め…。
そう思う反面、あたしを見てくれたことが嬉しかったりする。
「あんたのバカは今に始まった事じゃないじゃん」
あたしが淡々とそう言えばムキになって「このやろッ」そう言いながらあたしの頭を叩く彼。
あたしは少しのうれしさを押さえて叩かれたところをさわり睨みながら言う。
「叩くこと無いでしょ」
「ばーか!!」
そう言いながら睨み合う。
―そのときに視界の端にちらついた、彼女の悲しそうな顔。
自分が悲しめているのかと思うと少し罪悪感が生まれる。
あたしはパッと彼から反らし彼女の方に心の中を悟られないように微笑みながら言う。
「やっぱあたし、教室戻るね〜!」
「え、沙織?気使わなくても良いよ?」
少し首をかしげながら言う彼女に良いの良いのと良いながら立ち上がる。
「あ、オイ!!逃げんのか!?」
無神経にもあたしにそう言う彼を無視して屋上のドアを開けて彼女たちの方を振り返る。
「じゃ、後でね!!」
「あ、うん!またね!!」
そう言う彼女を見た後、彼の方に目線を移し言う。
「そこのバカ男」
「あぁ?」
少し眉を寄せてそう言う彼を見てから、ふざけた調子で言いはなった。
「あんたもうちょっと乙女心分かんないとさっさと捨てられても、知らないからね〜!!鈍感君?」
「は?」
不思議そうな声を背中に聞きながら、あたしはさっさと屋上を後にした。
―彼女が不安がってるのに気づかないんだもんなぁ。
ホント馬鹿。
目が熱くなって来ているのを紛らわすようにそんなことを考えてみる。
胸の痛みはまだ小さくならないし、まだ涙も枯れないけど、
二人ともあたしにとって大好きで大切な存在だから
あたしが邪魔しちゃいけないし、傷つけたりしちゃいけない。
でも、まだ忘れられないから
忘れるまで
…それまでは
ひっそりと思い続けるのを許して…。
何て、結局は都合の良いただの言い訳でしか無いのかもしれないけど。




4. 告白

「最悪だ…」
あたしは壁に隠れ向こうにいる彼らに聞こえないようにボソッと呟く。
放課後、迷い寮への道を探してさまよっていたら…
「好きです」
出くわしてしまったのだ。
…告白現場に。
なんて、お約束…。
出るに出て行けない状況に立ち聞きをしてしまうと言う状況にいるあたし。
―こんなところで告白なんかしないでよ…。
ここがどこか解らない癖にそんなことを思う自分。
「僕は…」
なんだかとてつもなく聞き覚えのある声が聞こえた。
………ん?
気のせいかな?今ものくごくむかつく声が聞こえたような…。
「お願いです!!東城君、付き合ってください」
予想は違わず、どうも思った通りの人物の名が出てげんなりとうなだれる。
…やっぱり東城かよッ!!
「ごめん、僕は君の気持ちには答えられないよ」
何が僕だ…、キモイし。
…猫かぶり野郎!!
「…そ、うですか…。聞いてくれただけでも嬉しかったです…。それでは…ッ」
東城に告白したらしい女子生徒は涙声になりながらそう言って、居なくなったらしい。
…こっちに来なくて良かったっ!
それにしても良い子だな〜。
なんで、東城にだまされてしまうのか…。
…少し苛々するな〜。
「…もう帰るか」
そう、呟き来た道を引き返し歩き出す。
「盗み聞き何て悪趣味だな」
背後からそう面白がるようなそんな声が聞こえ思わずギクッと肩を振るわせた。
恐る恐る振り返る。
そこには白々しい、気持ち悪い笑みを浮かべた東城が立っていた。
…あぁ、最悪。
「聞きたくて聞いた訳じゃないんですけどッ!!」
「でも、聞いてたんだろ」
…こいつは……。
「聞いたんじゃなくて聞こえたの!!」
「どっちも同じじゃん」
「違うから!!」
東城はあたしがそう言っても興味なさそうに、「あっそ」と言って軽くあしらった。
…こ、このやろぉぉぉお!!!
何でこんなヤツがもてるの!?
「あんたなんかに惚れる女の子達がワカラナイヨ」
片言で言うあたしをあきれたように見ながら東城は言う。
「告白したことも無いヤツが解るわけ無いだろ」
何でそんなこと知ってるの!?
「う、うるさいバーカ!!ってか、何で知ってるの!?」
「…何でだろーなぁ?」
そう言いながら東城は二ヤッと気持ち悪い笑みを浮かべた。
…何なんだこいつはぁぁぁぁあ!!!
……何か、疲れた。
「…はぁ、帰る」
「あ、おい、待てよ」
ろうとしたあたしに東城はついてきて横に並ぶ。
あたしはそんな東城を睨み付けて言う。
「何でついてくるの」
「ん、優しい俺は迷ってしまったお前を寮までついて行ってあげようと思ったんだけど?」
「うっ」
東城はまだニヤニヤしながらあたしの反応を楽しむように見ている。
…そ、そうだった……。
「あ、あんたなんかに頼まなくても帰れるしッ!!!」
あたしがそう言うと東城はあきれたような視線を私に向けた。
「…お前は可愛くねぇな、意地張るのやめれば?」
「…」
東城にそう言われたとき胸の奥がチクッと少し痛んだ。
お前はって言い方がさっきの子と比べてるみたいで何だか嫌だった。
―何これ…?何か、むかつく…
「おい?」
東城がそう言いながらのぞき込んできたときベシッと頭を叩いてやった。
「どうせあたしは可愛くなんか無いですよーだ」
すぐさま逃げて、そう言いながら舌を出してあっかんべをしてやった。
「あ、このやろう!!」
後ろでするそんな声を無視して走り出す。
―何だろうこの気持ち…?
自分の気持ちに気づくのは
きっと、もうすぐ。




5. 恋占い

私の彼氏は…冷たい。
「ねぇ〜聞いてるの?」
「……」
―彼女の私が家に遊びに来ているのにもかかわらず、両耳にイヤホンつけて雑誌を読んでいる。
私の存在は完全は無視。
イヤホンの音漏れてるし…。
「彰ってば!!」
私はそう言いながらつけているイヤホンを取った。
「んだよ」
彰は私を睨み付けて不機嫌そうに言う。
―私彼女なのに!!
そう思いながらもめげずに言う。
「だから、血液型ー!!何だっけって聞いてるのー!!」
「しらねぇよ」
彰はまた不機嫌そうに言って私からイヤホンを奪ってまたつけてしまった。
その態度にちょっとむかついて来た私。
「ねぇ、私帰るよ?」
「…」
…無視?
なれてるけど、引き留めてくれたりしないの?
…。
「良いもん、私だって雑誌読むから!!」
「…」
私は彰が座ってる横に腰をおろしてさっきまで見ていた雑誌を見始める。
―悔しいけどああは言ったって、やっぱり離れたくないんだもん。
さっき、血液型を聞いたのは今読んでる雑誌のため。
相性占いの本を読んでいるのだ。
友達の相性や、もちろん恋人の相性が解る。
そのために、誕生日と血液型が必要で聞きたかったんだけど……。
彰の馬鹿……。
ちょっと頬を膨らませて言ってみる。
「他の人との相性見ちゃうからー」
「……」
「他の男人とのだからねー」
「……」
なんか虚しくなってきた…。
彰は相変わらず無反応だし。
聞いてないのか聞こえてないのかどっちなのか…。
普通に雑誌読んでるし……。
「ほ、ホントに見るからね!!」
「……」
相変わらず無視の状態の彰にスネながらパラパラと雑誌をめくる。
「えっと、健司は6月13日のO型だから〜…」
宣言通り男友達のを探してみる。
もちろん友達の方をだけど。
ちなみに何故健司かというと、彰が知らない人物だから。
結構気が合うし良いヤツで、よく話したりしてる人。
実は相談に乗って貰っていたりする。
聞こえてるか分かんないし、これくらいの意地悪良いよね?
「ん〜、あ、あった!!」
―あなたとこの人の相性は92%
気が合い、話しやすい相手。
また、感じ方に趣味や好みなどにているところが多いため、気を使わずに会話が出来る人。
親友的存在になる可能性あり。
「相性92%!?すごーい!!!当たってるかも…」
結果を読み、当たっていることも結構あり嬉しくなる。
―親友かぁ、でも男とありかな?
恋愛感情ないしありだよね!!
だいたい健司は弱愛の彼女居るし。
「…ん〜、あ、取りあえずメールで結果報告しようかな〜」
携帯を開きメールを作成する。
でも呆れられる気もするが。むしろ馬鹿にされそうだ。
「―…んと、相性92%だって〜っと!!」
―で、親友になれるかもだってさ〜、と良し!!
「これでいっかな…あ?」
送信しようと思ったら手元から携帯が無くなり部屋のベットの上に落ちた。
―というか、彰が取り上げて投げ捨てたという感じ。
「え?」
「…お前むかつく」
彰の方を見たらさっきよりも更に不機嫌そうに私を睨み付けていた。
―え、え?
私は首をかしげながら聞く。
「むかつくって、何が?」
「…彼氏の前で他の男と相性見るヤツが何処に居るんだよ」
聞こえてたんだ…。
だったら返事してくれても良いのに!!
って、あ!!
「もしかしてヤキモチ?」
「…悪いかよ」
ムスッとしてそう言う彰。
…可愛い。
私はチュッと彰の頬にキスを落とした。
「じゃ、ちゃんと話聞いてよね?」
「…気が向いたらな」

「あ、相性100%だって!!」
「…あっそ」
「もう!!」
いっそう仲良くなれるかも?




6&7. 嫌い or 好き

「はっバカかよお前!18点とかありえねぇー!」
「あ、バカ!!言うな!!そう言うあんたはどうなのよ!?」
そう言いながらゲラゲラ笑う彼からテストを奪った。
―バカにして!!いったい何点取ったていう…
そして視界に移った点数は“20点”。
…。
「全然変わんないじゃん!!」
「ふんっ2点勝ってるだろーが」
参ったか!!と胸を張りながら言う彼にむかつきながらプリントを返して無視をする。
そんなんで威張れるかっての。
「はぁ」
何でこんなヤツが好きなんだ…。
あたしとあいつの関係はいわゆる喧嘩友達というやつ。
特に何かされたわけでもないし、何で、何処が好きなのかさえも解らない。
―でも、笑った顔にドキドキしたり、他の女と話してたらムカムカしたりする。
…てことはやっぱり恋でしょ?
「はぁ、何でなんだあたし…」
「何独り言呟いてんだよー。きもいぞ」
そう言ってきた彼をギロっと睨む。
―こいつは…
「…」
「おい!だまんなよ!!らしくねーじゃん」
お前のせいだアホ!!
あたしは座っていた席から立ち上がり、彼に言う。
「…次さぼるからよろしく」
そう言ってさっさと教室を出た。
後ろから「は!?おい!!!」って声が聞こえたけど無視。
取りあえず今は離れたい気分。
…あいつはバカすぎだ。
来たのは屋上。
今日は快晴だしさぼりには最適。
しばらく空を眺め続けた。
チャイムの音が聞こえたけどひたすら眺めていた。
らしくもないことを呟いてみる。
「…恋って難しいなぁ」
―ホントらしくない…。
「…何、恋の悩みですか」
「……」
その声に恐る恐る振り返る。
ま、まさか…?
「俺で良かったら相談乗ってやろうか?」
そこにいたのは案の定ヤツだった。
何でここにいるの…!
つーか、あんたの話なんだけど…。
「……」
「だまんなって!!
お前が大人しいとこっちまで調子狂うしー!」
何か多少むかつくことを言われたような気がしたけど大してむかつかないのはきっとヤツの表情のせいかもしれない。
―何で悲しそうな顔してるの…
「…」
「だーかーらー…、何か言えっての!!ほらお兄さん言ってみろ!!」
なんなんだろうこいつは…。
なんでそんな顔してんの…。
「…何か」
「そうじゃないだろ!!俺がいってんだから遠慮しないでいえっての!!」
―このまま言ってしまおうか…。
「あのさ…」
「…うん?」
あたしが言うと彼の顔が少し険しくなった。
―…もし駄目でもこいつとなら大丈夫かもしれない。
「…あたし、あんた嫌いだわ」
「はぁ!?」
そう言ったら彼は思いっきり顔を崩した。
間抜け顔…
「バカだしアホだし煩いし突っかかってくるし…」
「…」
あたしが言うたびに彼の顔はだんだんとにがにがしい顔に歪んでいく。
あたしは良いながら彼に背を向けて空を見る。
「身長あたしと同じだし」
「……」
彼は何も言わずに後ろ立っている。
「テストの点数ばらすし」
「……」
あたしはそう言ったあとに彼の方に振り返った。
彼は少し俯き加減で立っていた。
「でもね…」
「……」
あたしがそう言ったら彼が顔を上げた。
彼の顔は相変わらず少し苦しそうな顔をして何だか少し可笑しい。
―きっと大丈夫。…今の関係はきっと壊れない。
あたしは彼にきっと今までで一番の笑顔を向けて言う。
「好きなんだ」
「…は?」
彼は最初ぽけっとした顔をして、でもいきなりあわてだして、頬は少し赤くなってる。
その様子に少し肩をクスッっと揺らした。
「へ、は、ええ!?も、もう一回!!」
「ん〜?」
まだ少し赤いまま真剣な顔をして言う彼に少し笑いながら言ってやった。
「…嫌い」
「え…」
その顔はあまりに間抜けすぎて。
ふっと自然に笑みが漏れた。
「うそ、好き」



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