我は王なり!


それは一人の青年のなんだか不思議な奮闘記。
混乱しながらも何とか人々を助けようと頑張った青年の物語。
世界は始まりはある国の王が暗殺された事から。
青年は気まぐれに古びた物置を訪れた事から。
かくして物語は序章を迎える。
哀れな青年の犠牲を伴って。
しかしこのとき気がつかなかったのだ。
もう一人巻き込まれる人物が居ることに。

「え、マジで?」
暗い部屋に青年の唖然とした声が響いた─…。




おいおいおいおいぃ──…。
何これ。何なわけ。何の冗談?ちょっと悪ふざけが過ぎるだろ。ドッキリ?…そうだよな。きっと馬鹿な悪友が俺を陥れようと企ててるんだろ?
早く出てこいよー俺の間抜けな顔は存分に味わっただろ?ほら、引っかかったな馬鹿野郎!ってゲラゲラ笑いながら出てきてみろ。今ならパンチ一発で許してやるから。と言うか、誰か俺にそう言ってくれ…─。頼むから。


ええっと初めましてと言っておこう。初めまして。俺は誰かって?なるほどもっともな疑問だ。諸君の疑問に俺が答えよう。
俺は桜木直人だ。年齢は18歳。誕生日は8月27日の乙女座だ。よく似合わないと言われる。
家族構成は父母の両親に下に弟が二人に妹が一人いる。下の兄弟達はお兄ちゃん子で実に可愛い。一番近い弟が少々生意気になってきたのは反抗期だからだろう。まぁ、それぐらいはご愛敬。
彼女が出来たと自慢されてもめげない。たとえ馬鹿にしたように鼻で笑われようと俺はお兄ちゃんだから怒りはしない。分かった分かったと軽く受け流すのが大人って言うもんだ。最近の餓鬼はませていて困る。ませ餓鬼め。
ちなみに高三で受験突入中。それなりにレベルの高い大学を目指している。何故かって?一番家から近いからさっ!次に近い所は少なくとも家から50分は掛かる距離にある。だから俺にはそこにしか道は残されていないのだ。
成績はそこそこ良い方だ…と思う。多分。運動神経は良い方だろう。実は家が道場をやっていて小さい時からしごかれてきたからだ。
あと近所、と言うか真向かいに住んでいる男が居る。幼なじみという奴だ。あの男も小さいときからこの道場にいた。いわゆる兄弟弟子?しかし小さいときはさして変わらなかった実力は今や倍以上の差が付けられている。何だあいつの体力は。あの反射神経は!正直化け物なみだ。
普段は無口無表情の無愛想な奴なのに。信じられん。何でアイツがもてるんだ。
世界は無情で不公平だとおもわんかね?正直今の平凡で平和な日常で何か面白いこと無いかなー、とか思っていたさ。
小説とかで良くある異世界とか行ってみたいなぁとか思ったこともあったさ。勇者となって魔王を倒すとか、ドラゴンを退治するとか、世界を救うとか。
男なら誰でも一度は抱く夢だろう?
なのに何でこんな事になったんだろうな。と言うかどういう状況なんだろうな。
目の前に居るいかにもファンタジーチックな人は一体誰ですか?
あれか、母さんが大事にしてた鏡を割ったのが駄目だったのか?それとも父さんがいつも付けてたピアスをこっそり拝借したのが駄目だったのか?
つーか、マジでここ何処?



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