何度も目が合う日
突然ですが私、河野桜には、最近気になる人がいます。
好きな人ができました。
きっかけは何とも単純で学校の曲がり角、よそみして歩いていて彼…同じクラスの西秋くんにぶつかってしまいまったのです。
そのとき、私は尻餅をついて転んでしまったのです!
恥ずかしくて死んじゃうかと思いました。
その私に、西秋くんはとっても輝かしい笑顔で「大丈夫?」と手をさしのべ手くれたのです!!
きゃ―――っ!!
なんて格好いいっ!!
それからはもう、彼に夢中な私ですっ
しかし、今日はなんだか彼の様子がいつもと違うのです。
ばちっ
あっ、まただ。
そう思ったのは何度目でしょうか。
思わず顔がゆるみそうな私はがんばって顔を引き締めます。
だって、今日は朝から愛しの彼と何度も目が合ってるんですよ?
うれしくないわけ無いじゃないですか!!
しかし、どうしてだと思ってしまうのも仕方ないと思うんです。
だって今まで一度もこんなこと無かったんですから。
しかもこちらを西秋君はみてるのに、私が目線を合わせるとスッと顔を背けてしまうんです。
ちょこっとほほを染めて。
気のせいでしょうか。
これはもしかしたらもしかするんじゃ?と思うのが乙女でしょう!
しかし、心当たりも実はあるのです。
内気な私は、最近勇気を出し始めたんです。
ちょっとしたことなんですが、とっても勇気がいることなんです。
朝や帰りに積極的に西秋君に声をかけてるんです。
「おはようございますっ」
と
「さようなら」
をできる限り私の最高の笑顔で言うようにしたんです!
最初は、噛んじゃうしどもっちゃうし大変でしたが、最近はもうちゃんといえるようになったんです!!
もしかして、そんな私が気になっちゃって――…。
うふふふふ
自惚れちゃいますよ?
だって、そう思いたくなる反応なんですもんっ
最初は朝、挨拶したときでした。
「おはようございますっ西秋君」
そういったら、彼ポッと顔を薄く染めて顔をそらしてぼそぼそと「お、おはよう」って。
最初は首をかしげたんですよ?
でもその後
HR中に目があって、その後も授業中に休み時間。すれ違いざまに、お昼休み。
いろんなところで目があっては同じ反応をするんです。彼!!
あ、ほら今もなんだかちらちらこちらをみて―…
えぇ!?
彼がこちらに向かって歩いてきました。
何ですか?もしかしてもしかしてですか?
彼の顔はやっぱりちょっと赤くなってます。
わわっ、め、目の前で立ち止まりました。
ジッと上から見下ろされてちょっと居心地が悪いです。
で、でも、もしかするかもしれないんですよね?
そう思って、私はおそるおそる彼の顔を見上げて口を開きました。
「に、西秋君どうしたんですか?」
「あ、あの河野さん」
緊張したように恥ずかしそうに言う彼に期待に胸が震えます。
えぇ!?本当に……?
「は、はい?」
見上げる私に西秋君はとまどいながら小さくつぶやくように私に言いました。
「あの、スカートのフ、ファスナー全開になってるよ?」
は、い?
聞き、間違いでしょうか
今ファスナーがどうとかこうとか…?
おそるおそる目線をおろした私の目にとまったのは苺柄の…
って
キャア――――ッ!!!!!
叫ばなかった私を誰かほめてください!
私は顔を真っ赤にして急いでファスナーを閉めると、真っ赤になりながらおそるおそる彼を見上げました。
よりにもよって苺柄っ!!
というよりももしかしてもしかして…
「あ、朝からでした…?」
「あ、あぁ…」
とまどいながら言う彼に私はさらに真っ赤になって、顔を手で覆いました。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいっ!!
なんてことでしょうっ!!
そんな私に、彼はふわっと笑って言ってしまわれたのです。
「河野さん、可愛いね」
はにかみ笑顔でそういわれて、私は失神してしまうかと思いました。
いろんな意味で。
Fin